昨年の5月にオープンした店だそうだ。先日、この近くを通った時に、看板に気が付ききょう入って来てみた。看板が出ているということは、けして通り沿いに立地しているのではなく、通りからは奥に入る。
店主は埼玉で店を開いていて、こちら八郷に引っ越して来たのだそうである。雰囲気も良いし、店からの眺めも良い。
さて、ざるそば700円を注文。さらに追加1枚400円も。普通、ざるそばというと、海苔がかかっているのが、ざるそばと思いがちだが、最近は、文字通り、ザルの上に盛られた蕎麦で「ざるそば」という店が増えてきた。
蕎麦文化の牽引車は「蕎麦屋さん」というのが、今までの流れだったが、ここ4〜5年、特に一昨年ぐらいからは、蕎麦文化の担い手は、「個人での趣味の蕎麦打ちの方たち」、このような自称蕎麦打ち名人の方たちが牽引しているように思う。
蕎麦屋さんに食べに行くのは、昼ごはんとしての食事的での意味合いか、または、自分で打った蕎麦のおさらい、復習、また、つゆの研究などなど、参考書的な意味合いでの訪問となっているような気がしてならない。だから、これからの蕎麦店営業もかなり競争激しく、確かな目を持った客たちに、はかりに掛けられるだろう。
そのような意味で、この 泰旬庵そば 風 はボーダーライン以上の店だと思う。地元で獲れた蕎麦を、JAで挽いてもらっているようだが、まだまだ蕎麦粉が雑で、キメが粗く(あら挽きではなく、挽けないキメの粗さ)、十分な蕎麦とは言えないが、そのようなやり方を店主が選んだので、それはそれで良しとしよう。ニハだそうだが、コシはあるが、蕎麦粉の雑さからか、甘みや香りはイマイチである。つゆは文句なしで美味しい。
弊社のせいろ蕎麦粉や丸うす蕎麦粉に、挽きぐるみあら挽き粉でもまぶし、ニハの配合率を外二か九一まで配合率を高めると、さらに蕎麦が美味しくなるのだが、あいにく弊社のそのような石臼粉も既存のお客様で一杯一杯である。
これは意外と蕎麦屋さんでも勘違いしていることが多いのだが、せっかくの地元の良い原料を、ただ地元のなんでもよい様な、雑穀屋さんなどに依頼して挽いてもらえば、それだけで最高の蕎麦粉が挽けたと思いがちだが、現実はそんな簡単なことではない。
石臼の自家製粉もそうである。今はなくなってしまった、群馬の石臼メーカーや岐阜や愛知のおもちゃに毛の生えたくらいの石臼で、良い蕎麦粉を挽こうと思っても、所詮、無理があるのである。要は、せっかくの良質な原料も、挽き方次第では台無しになってしまう・・そのようなことが多いのである。
この店も甚だ良い物を持っているだけに、そこのところが気になったというわけである。まあでも、いずれにしても美味しく、ボーダーライン以上の店であることに違いはない。これで、また、八郷が蕎麦の激戦地区になった。お互いに切磋琢磨しながら、蕎麦文化の担い手になっていって欲しいものである。 |