朝方、第二工場直売所に、つくば未来市より、お客様が見える。年輪を重ねた、年輩のご夫婦である。そのご夫婦が何でも、趣味で蕎麦を栽培しているらしく、今年も数十キロ獲れました、と私に話す。「こちらでは蕎麦を製粉してくれるんですか?」と話している。確かに弊社では一昨年までは委託加工を行っていた。だが、今は行っていない。そのご夫婦はどこかで弊社のことを聞いてきたらしい。
「諸事情で今はそれは行っていないんですよ」と私はそのご夫婦に話した。かなり残念がっていたようだが、今は弊社ではそれはできない。機械に空きがない。
それでもって、「どこか、蕎麦を挽いてくれるところはないんですか?」と感じの良いご夫婦が話しかけてくる。「そうですね〜、ここから差ほど遠くない、Sさんとういう精米所さんがたぶんやってくれるかもしれないですね〜」と私が答え、そこに行く道順を説明した。
そのご夫婦も第一の用件は達成できなくても、せっかく来たのでということで、蕎麦粉やらいろいろな製品を軽く万を超える買い物をしていただいた。とても有難い。買い物もひとしきり終わり、ご夫婦はそのS精米所に向けて出発していった。
ところが、私が教えた道が工事中で迂回路となっていて、判らず仕舞いでまた戻ってきた。
工事中で行けませんでした・・とご主人が私に話す。せっかく遠いところから来ていただき、弊社ではその念願の、採れたての蕎麦の加工ができずに、がっかりしているところをかなりの買い物をしていただいた。普通なら、蕎麦の加工は出来ないんですよ・・といったところで話は途切れてしまうのだが・・・
私も、そのご夫婦を思い、丁寧に加工のできるところを教えた積りである。教えた以上、彼らが道に迷って困っているのでは、責任を感じる。なので、私の車を先導にその委託加工のできるS精米所まで自分の車で誘導してあげた。弊社でできないので他を紹介した。そして、そこにそのご夫婦が辿り着けないのならば、キチンと誘導してあげるのは当たり前だ。
30分後、そのご夫婦から電話があり、その私の教えてあげた精米所で「私たちの栽培した蕎麦を加工してくれることになりました。ホントにどうもありがとうございました。」と、奥様がわざわざ電話してくれた。何か、私も涙腺が緩むくらいに嬉しかった。
今時このような律儀な、実直な方たちが居られるんだ・・ということで感動すら覚えた次第である。普通なら弊社で蕎麦の加工ができなく、断わればそこで話しは終わってしまうハズ。ところが、そのご夫婦は折角来たのだからということで、万を超えるお買い物をしていただき、私が当たり前で、加工のできるところまで案内したことに対して、さらにお礼の電話を頂戴いただく。
義理人情、まだまだ、ニッポンも捨てたものでもない。このような、語弊はあるが、奇特な礼儀正しい、素晴らしい方たちがいる。私もきょうはそのようなことがあったので、気持ちよく一日を過ごせた次第である。また、反面、荒み切った世の出来事にも、憂いの念を感じた。昨日のあるTVでの言葉を思い出す。「お金を払って店に食べに来ているのだから、いただきます・・などという必要はない」。要するにお金を払って物を買っているのだから、ちょっとでも気に喰わないことがあれば、買った先に対して文句を言う。このような事が多すぎる。思いやりのない人たちが増えてきている。 このようなことだから、今のような諸問題の発生する世の中になっているんじゃないのだろうかと。
きょうはその類稀な、貴重な例えであるが、我が社を自慢するわけではないのだが、そのような出来事があった。実は、弊社第二工場のお客さまには、弊社ではお買い物をしていただいて、金銭を支払っているにも関わらず、次回にそのお客様が来社されたときに、米やら、お菓子やら、野菜やら、「皆さんで食べて下さい」とわざわざ持ってきてくれるお客様が結構いらっしゃる。順番は逆である。本来なら、こちらが製品をお買い上げいただいたサービスとして何か上げなければならないのに、反対にお客様が「良い蕎麦が打てました」といって先程書いた、真心の一品を届けてくれるケースが結構ある。
商売冥利に尽きるとともに、少々手前味噌であるが、「蕎麦は良い食べ物、蕎麦を食べて、健康に生き生きと生活をして下さい」という私の、いや、弊社の会社理念が少しでも世の中に受け入れられてきたのではなかろうか?と思っている次第でもある。
きょうも写真の蕎麦を食べた。その美味さが五臓六腑に沁みたとともに、明日への活力にもつながる。 |